高砂アラレはずっと醤油を探していました。
美味しくて、安全で安心な醤油を探していました。
そんな醤油で醤油アラレを作りたいとずっと思っていました。
ある日、一つの相談が高砂アラレに持ちかけられました。
その相談の内容というのは
「高砂アラレのある地元の近くの鞆淵(ともぶち)というところで黒豆を作っている。
品質的には有名な丹波産のものとほぼ変わらない。その黒豆のB品が余っている。ついてはそれで何か出来ないだろうか?」という相談でした。
高砂アラレでは地域のためになるのであればとすぐにアラレの試作を開始。
試行錯誤の後、和歌山アラレシリーズにラインナップされている「鞆渕黒豆あられ サラダ風味」と「鞆渕黒豆あられ きな粉」の二種類のアラレを作りました。
この二種類のアラレは非常に評判がよく、おかげさまでお客様に好評を頂いております。
さて、この黒豆でアラレの試作をしながら高砂アラレがもう一つ思いついたことがありました。
それは、この黒豆でお醤油を造ることが出来ないかということでした。
高砂アラレのある「紀州和歌山は醤油の故郷、醤油発祥の地としても有名なところ、地元の豆を使って造った醤油ならばきっと自分の求める味に近づけるはず。
それが地域のためになるのならさらにいいことじゃないか」そう考え、早速、伝をたどりながらいくつかの醤油醸造所に対してアクションを開始しました。
黒豆で醤油を造ってくれる醤油醸造元。
言うのは簡単ですが実際に造っていただくとなると、そう簡単には見つかりません。
実際、ある蔵元にお願いしてお断りされたこともありました。
そんな中、人と人をつなぐ出会いがありました。
ある知り合いの方が、同じ和歌山にある醤油の蔵元と引き合わせてくださったのです。 その醤油醸造所は和歌山県有田郡にあるカネイワ醤油本店様でした。
醤油醸造業では百年余りの歴史を持ち、世界遺産にも指定されている高野山系から流れ出す良質の水を使い、国産原料のみにこだわり、古来から守られている製法で2年間の時間をかけてお醤油を造っているこだわりだらけの醸造所でした。
早速お会いして、高砂アラレの考えを話し、取り組みの姿勢をお話したところ、そういうことであればと快諾していただくことが出来ました。
しかし、豆だけでは醤油は造れません。
醤油のためのもう一つの大切な素材、それは小麦です。
良質の小麦、それがないと醤油は造れません。
カネイワ醤油本店様のほうでいつも使用している国産の上質な小麦を使っても良かったのですが、様々な方たちと相談し、和歌山県の県庁の皆様のご協力も得られるとの事でしたので、ここはひとつ小麦も和歌山県内で探してみようということになりました。
皆様のご協力で和歌山県内四方八方を探し回った結果、一つ面白い小麦が見つかりました。その小麦というのは農機具や農業製品を生産している和歌山県のとある会社が持っている農業試験場で栽培されている小麦でした。その小麦は原種に近いもので、農薬は一切使用していない栽培方法で作られていました。
大豆、小麦がそろえばあとは塩、和歌山は海が豊かな土地です。
きっと良質の塩が見つかるはず、ということで探しはじめました。
塩はすぐに見つかりました。しかもとても良質なものでした。しかし、ここで問題が発生しました。
それはコストでした。その塩のコストはカネイワ醤油本店様が通常使用している国内でも有数の良質な塩と比較しても50倍の価格でした・・・・・。
これはさすがにつらい、というカネイワ醤油本店様のご意見でした。仕方がないので何割かをその塩を使い、残りの部分をカネイワ醤油本店様が普段使っている塩を使うことにしました。
平成20年、仕込のための準備が始まりました。
黒豆と小麦の量が少なめだったため、カネイワ醤油本店様は従来の大樽ではなく、新たに一つの小さめの樽を用意してくださいました。大きな樽の横にその樽を新たに増設し、樽を混ぜるための足場を組み、設置しました。小さ目といっても人と比較した場合その大きさはかなりのものです。設置の工事はすべてカネイワ醤油本店様のスタッフの皆様で行ってくださいました。
そして秋、いよいよ黒豆醤油の仕込が始まりました。 黒豆を蒸し、小麦を炒って、種麹と混ぜ合わせて麹の花を咲かせる作業です。
その作業は丸3日間ほとんど寝ないで行われました。
黒豆で醤油を作るのはカネイワ醤油本店様としても初めての試みだそうです。
それだけにいつもよりも余計に神経をとがらせ気を使いながらの作業となりました。
そうして出来たのが左の写真の麹です。
この麹を塩水を張った樽の中に入れて、後は毎日毎日かき混ぜて諸味になるのを待つのです。
いま、麹は諸味になり、醤油になる日をじっと待っています。
醤油になるのは平成22年の秋の予定です。
その日その時を高砂アラレはスタッフ一同楽しみにしています。
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